【イギリス国保護法廷】ロンドンに所在する英国裁判所(保護法廷)からの通知に対して適切に対応した案件
依頼内容
英国ロンドンの裁判所から、突然、日本国で、身寄りのない子供を支援する特定非営利活動法人(以下「非営利法人」という。)に対して英字による長文の通知書が届いた。
内容がよく分からないので、適切に対応していただきたいとの依頼内容。
対応と結果
弊所で英国ロンドンの裁判所とコンタクトをとると、通知書の送り主は、英国無能力者保護法廷という特別法廷(以下「保護法廷」という。)から選任された公認法律事務所のソリシター(法廷外弁護士)であることが分かりました。
具体的には、英国において高齢の女性が医療介護施設で生活をしているが、お元気な頃に日本国における非営利法人との縁が深かかったため、日本の身よりのない子供たちのために、同法人に一定額を寄付する内容の遺言書を作成したい希望を持っているとのことでした。
弊所において非営利法人から受任すると共に、英国裁判所との関係では、別途、英国の法律事務所ソリシターに非営利団体の代理人として受任してもらい、案件対応に当たりました。
高齢女性には(推定)相続人が存在して一定のコンフリクトがありましたが、お互いが合意した内容を英国裁判所に提出して、最終的に、保護法廷が本人を代理して遺言書を作成して終了しました。
弁護士のコメント
弊所においては、代表の小川晶露弁護士がロンドンに3年間留学していたことから、英国案件の依頼を受けることが少なくありません。
英国の無能力者保護法廷とは、高齢者に限らず判断能力を欠くとされる英国市民の自己決定を支援するための枠組みとして、本人の最善の利益のために、その意思決定を一定範囲で裁判所ないし裁判所が選任する公認代理人が行うことができる司法制度になります。保護法廷の権限は多岐にわたりますが、遺言書に関して日本には存在しない制度になります。
また、弊所で依頼した英国ソリシターの弁護士費用は、保護法廷の決定により、全額が高齢女性の財産から支払われました。
余談ですが、英国ソリシターによると、保護法廷が作成した遺言書の効力が、後に覆される可能性は非常に低いため、英国では遺言しようとする者の判断能力に疑問がある場合には、まず無能力法廷に申立てを行ってみる、とのことでした。
他方で、保護法廷から、判断能力を欠いているとは言えないとの却下決定が出された場合には、その後、相応に自信を持って、単独で遺言書を作成するそうです。
