【ハワイ州第2巡回裁判所】プロベート(Probate)手続でハワイ州マウイ島にある著名な外資系リゾート会員権(不動産共有権付)を財産管理人として売却した案件
依頼内容
お母様(日本人)が永眠されたが、相続財産の一つとして、お母様がハワイの著名な外資系リゾート会員権(不動産共有持分権付)をお持ちであることが判明した。
毎月、800ドルの管理費・その他諸費用の請求書が届く状態がつづき、放っておく訳にも行かないので、適切に処分するとの依頼内容。
対応と結果
まず、お亡くなりになったお母様がお持ちの上記の外資系リゾート会員権の権利内容が全く不明でした。
日本の代理店も「自分達は窓口に過ぎず、分からない」の一点張りでしたので、直接、上記の外資系リゾート会員権の管理会社に問い合わせを行うと、単なる利用券ではなく、ハワイで不動産所有権(共有権)を有する会員権であることが判明しました。
不動産所有権を処分しなければならないのですが、被相続人(お母様)の国籍は日本であるものの、不動産所在地がハワイ州マウイ島であったため、ハワイ州の相続法と不動産法にしたがい処分することになりました。
ハワイ州の現地法律事務所と連携しながら、また、当然のことながら遺言信託などもありませんでしたので、プロベート(Probate)の申立をハワイ州第2巡回裁判所に行うことになりましたが、ご長男様を財産管理人(Personal Representative)とする選任決定を出してもらい、実際の実務はハワイ法律事務所と弊所にて行いました。
さらに内容を精査していくと、毎月、送付される約800ドルの内訳としては、管理費だけでなく抵当権(Mortgage)付証書貸付金の返済であることが分かり、抵当権付き不動産を売却する必要があることが判明しました。
論点としては、当該会員権(不動産共有権付)の処分方法として、①当該リゾート会員権の発行会社に買い取って貰う方法(Purchase)、②第三者に任意売却して売却代金の中から抵当権残債を返済する方法(Private Sale)、③抵当権者である発行会社に抵当権を実行して貰う方法(Foreclose)、等のうち、何れが最も合理的な処分方法であるかについて慎重に判断することでした。
特に懸念された点として、上記①、②、③の何れかの方法によった場合、不動産共有権を売却できても、残債務として何等かの負債が残ってしまうのではないか、という点でした。
最終的に、上記①、②の手法だと負債が残ってしまう可能性があるのに対し、上記③の手法だとハワイ州の法制度としては残債務があってもそれ以上の責任は負わないことが分かり(※)、この③の手法で進めてもらい処分を終了し、その後、裁判所の一定の公告期間を経て、プロベート(Probate)の手続も正式に終了しました。
(※)アメリカ合衆国の不動産法、相続法等は州によって異なりますので、必ず現地ロイヤーに十分に確認いただく等、細心の注意が必要です。
実際に上記③の手法により抵当権を実行して貰うと、約17万ドルの負債が残ったと計算されるため(但し、上記のとおり責任は負わない)、当初の想定どおり、負債を残すことなく適切に処分・終了させることができました。
弁護士のコメント
本件は、たった1つのリゾート会員権を処分するだけでしたが、着手から終了まで約2年もの期間を要しました。
最近では、本件のような外資系リゾート会員権を含めて海外に資産を持つ方が増えてきていますが、お亡くなりになられた後に相続関係を処理するとなると、特に不動産は大変です。
アメリカに限って言えば、当該不動産に関して遺言信託をしておくのも一つの選択肢です。
この他、抵当権付不動産であっても、海外資産なのだから、このまま何もせず放っておく、という考え方もあるようですが、デメリットもありますので、弊所では、あまりお薦めしておりません。
