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【米国ニューヨーク南部地区連邦裁判所】ニューヨーク競業企業の人員を採用したため差止と損害賠償を請求する裁判を提起された案件

依頼内容

日本企業がアメリカで人員を採用したところ、ニューヨークに本拠を置く米国競業企業から競業禁止義務違反を根拠にNY南部地区連邦裁判所に裁判を提起されたため、これを適切に解決するという依頼内容。

対応と結果

本事案は、日本企業が採用した人員が前職である米国企業において競業禁止の誓約書を提出していたため問題となった案件でした。
当初、交渉によって解決することを目指しましたが、顧客を喪失することを懼れた米国企業が、現地子会社と日本国親会社の両方を被告として上記の訴訟提起を行いました。
実際に法廷活動を行うのはアメリカ人ロイヤーでしたが、弊所においては、親会社の顧問弁護士として、子会社を含めて訴訟事件全体のマネジメントを担当しました。
最終的には、証拠調べ(Discovery)手続に入る前に、ほとんど制約のない内容で和解をして訴訟終了となりました。

弁護士のコメント

いくつかコメントをしたいと思います。
まず、アメリカの民事裁判手続は、大きくは、①訴訟提起と却下申立(Motion to Dismiss)、②答弁書(Answer)の提出、③証拠調べ(Discovery, Deposition)、④法廷裁判(Trial)、⑤判決(Judgment)、という流れで進んでいきます。
日本企業はアメリカにとって外国企業になりますので、一般的には上記①において、Subject Matter Jurisdiction、Personal Jurisdiction、Forum Non-conveniens、そして送達(Serve)の不適法性等を主張して、実体審理に入る前に、手続要件を満たしていないとして争うことになります。この判断には、相応の時間がかかりますので、その間を利用して、引き続き和解交渉を続けるという戦略が採られることが多いです。

また、裁判を提起する側の意識や文化も、かなり日本とは異なります。日本では訴訟提起までは、種々の理由からハードルは高いですが、米国では、まずはともかく裁判を提起して、それから同時並行で和解交渉する、という考えがあります。実際、米国では、訴訟を提起しても手続開始の申立をしないと審理は開始されませんので、審理が開始されることなく滞留したままの訴訟事件が非常に多くあります。

他方で、米国において、莫大な訴訟費用と弁護士費用がかかるのが、上記③の証拠調べ手続(Discovery, Deposition等)からになります。その結果、双方当事者ともに、上記③が開始するまでには何とか和解を成立させたいというDriving Forceが強く働きます(もちろん、案件によります)。

なお、本件では、該当の採用された人員を、直ちに、現地子会社から親会社に切り替えたこと(就業場所はアメリカ)、米国においても、日本国における職業選択の自由とのコンフリクトと同様の議論があること、さらに、当時、連邦取引委員会(Federal Trade Commission)が大幅に競業禁止規定を制限・廃止するルールを策定することが予測されていたこと等から、日本企業側と当該人員に対して、ほぼ何の制約もない内容で和解解決をすることができました。良かったです。

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